20代〜30代女性の美容購買行動調査:旧来型マーケティングの終焉と「購買導線」の変化

調査のポイント

  • 20代と30代の違いは、「何を欲しいか」より「何を信じて買うか」に表れている
  • 20代前半から30代後半にかけて、美容購買は4段階のグラデーションを描いている
  • 旧来型マーケティングは届かないのではなく、決め手になりにくくなっている
  • 韓国コスメは市場全体を制覇するのではなく、高熱量層の深耕で存在感を高めている

主な調査結果

1. 購買導線のグラデーション

20代前半、20代後半、30代前半、30代後半の4区分で比較すると、求める価値そのものは大きく変わらない一方で、情報源・影響源・購買チャネルは段階的に変化していることが明らかになりました。

20代前半はTikTokとSNS経由購入が高く「発見」主導の傾向が見られます。20代後半では韓国コスメの高頻度購入がピークとなり、30代前半ではInstagram重視とドラッグストア購入が同時に高まります。30代後半では口コミサイトの影響と「特に影響なし」の比重が厚くなり、自己検証型の購買へと移行していることが示されました。

4世代で見る美容購買導線のグラデーション

2. 情報の入口は年齢とともに変化

TikTokは20代前半で最も強い情報源でしたが、年齢が上がるにつれてInstagramが中心的なプラットフォームとなり、30代後半では口コミサイトの比重が高まります。これは、若年層向けにはTikTokだけでなく、年齢層に応じた多様な媒体設計が必要であることを示唆しています。

主情報源のグラデーション

3. SNSでの発見と購入チャネルの乖離

SNSで商品を知ったとしても、そのままSNS上で購入されるとは限りません。年齢が上がるにつれてSNS経由購入とQoo10の比率は低下し、ドラッグストアや楽天市場といった、より納得感を得やすい売り場へ購買の重心が移る傾向が見られます。SNSは発見の装置であり、購入の装置とは限らず、それぞれに最適化した導線設計が求められます。

主購入チャネルのグラデーション

4. 旧来型マーケティングは「届いても決め手になりにくい」

美容商品を選択する際に重視されるのは、20代・30代ともに価格(コスパ)、口コミ・レビュー、効果実感・科学的根拠でした。一方で、ブランドの信頼性・歴史やテレビCM・雑誌広告は、単独では購入の決め手になりにくくなっていることが示されています。大手ブランドの認知度は依然として高いものの、「知っている」ことと「買う理由になる」ことの間に距離が生まれていると考えられます。

旧来型マーケティングは「届いても決め手になりにくい」

5. 韓国コスメは「高密度セグメント」で深く浸透

韓国コスメの強さは、市場全体に広く浅く浸透しているのではなく、Qoo10主利用層、インフルエンサー影響層、TikTok・Instagram投稿影響層など、相性の高いセグメントで高頻度購入が突出している点にあります。SNSで発見し、レビューで納得し、Qoo10で購入するという高密度な導線を確立した層において、極めて強い存在感を示しています。

韓国コスメは「市場全体」ではなく、「SNS×Qoo10の高密度セグメント」で深く刺さる

6. 韓国コスメの浸透は30代前半まで拡大

韓国コスメは「Z世代だけのブーム」と語られることもありますが、購入経験の広がりは30代前半まで続いており、20代前半42.2%、20代後半42.8%、30代前半42.6%と、購入経験率はほぼ同水準です。ただし、月1回以上または数ヶ月に1回の高頻度購入のピークは20代後半(29.6%)であり、浸透と収益化のピークには年齢差があることが示されています。

韓国コスメ関与の年齢グラデーション

考察:終焉したのは「売り方の前提」

本調査が示すのは、20代と30代の価値観の断絶ではなく、消費者がどこで商品を知り、何を根拠に納得し、どこで購入に至るかという「購買導線の構造」の変化です。商品選択時には、どの世代でも「価格・コスパ」「口コミ・レビュー」「効果実感・科学的根拠」といった合理的な要素が重視されていますが、情報源や影響源、購買チャネルは年齢とともに段階的に変化しています。

この変化は「旧来型マーケティングの終焉」とも捉えられます。旧来型マーケティングとは、単にテレビ広告や店頭販促といった手法そのものではなく、認知を獲得すれば売れること、ブランドへの信頼が意思決定を支配すること、情報が企業から消費者へ一方向に流れること、そして売り場で購買が完結するといった一連の「売り方の前提」を指します。本調査では、これらの前提が成立しにくくなっていることが明らかになりました。

現在の美容購買は、認知だけで完結するのではなく、発見・検証・納得・購入が分かれた構造の中で成立していると考えられます。TV・店頭・ブランド信頼といった要素は情報接触の一部として機能するものの、購入の最終的な決め手としての影響力は相対的に弱まっています。広く届けて認知を獲得すれば売れるという従来の「売り方の前提」が終焉したと解釈するのが自然です。

一方で韓国コスメは、TikTok・Instagram・インフルエンサー・Qoo10といった高熱量の導線を短く接続することで、特定のセグメントに深く入り込む構造を築き、この変化した導線に強く適応していることがうかがえます。これは、「誰が売っているか」よりも、「どの導線で発見され、どの流れで納得されるか」が重要になっていることを示唆しています。

今後の美容マーケティングには、到達量の拡大だけでなく、消費者がどこで発見し、どこで比較し、どこで納得して購入するのかという一連の導線全体を設計することが求められるでしょう。

今後の勝負を分けるのは、到達量の拡大ではなく、発見・検証・購買のどこで意思決定が生まれるかを前提にした導線設計です。

調査概要

  • 調査主体:Chocobra Research(ザ・プレミエールファクトリー株式会社)
  • 調査実施:株式会社アイブリッジ(Freeasy)
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:20代女性1,000人、30代女性1,000人(20代前半・後半、30代前半・後半 各500人)
  • 有効回答数:2,000人
  • 調査期間:20代調査 2026年3月17日〜3月18日/30代調査 2026年4月7日〜4月8日
  • 調査内容:美容商品の購買チャネル、情報源、選択基準、韓国コスメ購入経験、購買時の影響源

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