トレンドを生むグルメ催事の復活
CCCMKホールディングス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 兼 CEO:髙橋誉則)にて、『暮らす人と共に歩み、共に考えるシンクタンク』をコンセプトとする「CCCマーケティング総合研究所」(以下「CCCマーケティング総研」)は、2024年4月の「産業動向レポート」および「産業天気予報(https://thinktank.cccbiz.jp/industry-39)を発表いたしました。
本レポートは、CCCMKHDがV会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。
トレンドを生むグルメ催事の復活
百貨店の活況が続いています。コロナ禍で大打撃を受けた百貨店は流動の回復とともに売り上げを伸ばしてきており、インバウンドの流入拡大とともにその勢いは加速傾向にあります。ラグジュアリーブランドや宝飾が業績伸長に大きく貢献しているなか、徐々に百貨店の催事も人気が回復してきています。催事は百貨店の集客起点となってきましたが、コロナ禍で状況は変化し、集客回復して以降も催事はコロナ禍前の状態になかなか戻っていませんでした。しかし、この数か月の動きをみると催事の集客パワーは復調が鮮明になってきています。
コロナ禍前に人気だった「北海道展」や「九州展」といった定番のご当地グルメ催事は新たなテナント誘致を行い、集客力をさらに上げることに成功しています。北海道の「豚丼」など、ご当地グルメは百貨店が牽引役となって、外食店にメニューとして波及していったケースが少なくありませんが、こうした二次的なご当地グルメの広がりはコロナ禍で全くといっていいほど、落ち込んでしまっていました。今後、百貨店催事の復活が外食店の業態開発、メニュー開発につながっていくのか注目されるところです。
百貨店のグルメ催事でコロナ禍前から徐々に全国的な広がりを見せていた「パンフェス」も集客面で回復傾向が鮮明になってきました。コロナ禍前は高級ベーカリー主体の構成となっていたところが多くありましたが、直近の催事をみると町中ベーカリーの出店が増加傾向にあります。単一ジャンルの専門型ベーカリーと町で人気のバラエティ豊富なベーカリーを組み合わせて展開される傾向が強くなっており、このような催事を起点にパンのトレンドが変化する可能性も高く、今後の動きが注目されます。
百貨店の催事開催機会増加と市場の活性化がほぼ同じペースで進んでいるのが「クッキー」です。クッキーはデパ地下でも定番テナントでしたが、ここ1~2年の間でその位置づけは大きく変わってきています。お菓子の自主編集売り場においてもクッキーが採用されるケースが増加してきており、採用された商品も売り切れが続出するなど、デパ地下スイーツの中で存在感を増しています。また、手土産の市場でもクッキーの人気は上昇傾向を示しており、サブレやソフトクッキーなど、バリエーションも一気に広がりを見せています。こうしたクッキー、ビスケットの人気は百貨店だけでなくコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどにも波及しています。「たべっ子どうぶつ」や「カントリーマアム」といったロングセラー品が人気を牽引し、PBアイテムでも採用されるケースが増加するなど、さらなる消費拡大が予想されます。
社会変化により百貨店の役割はかつてと大きく様変わりしていますが、いまだトレンド発信の拠点として百貨店が果たす役割は決して小さくありません。特にグルメ催事の果たす役割は大きく、次なる消費を占う場として今後も要注目です。
2024年4月の「産業天気予報」
CCCマーケティング総合研究所が発信している情報
●社会変容・生活様式などの変化を、生活者視点から捉えた意識調査
●約7,000万人のデータをもとに、世代や地域の特性把握をした調査
●オンラインセミナーによる調査内容の発信
●小売7業界の生活者動向と見通しを月次発信する「産業動向レポート」「産業天気予報」
CCCマーケティング総合研究所の概要
名称:CCCマーケティング総合研究所(CCCマーケティング総研)
URL:https://thinktank.cccbiz.jp
設立:2020年7月21日
所長:新橋実
生活者の消費データ、インサイトや心の変化、さらには社会環境や経済情勢などを踏まえ、生活者のみなさまの「ちょっといいな」を実現するために、2020年に発足しました。我々は『生活者の皆さまと共に歩み、共に考えるシンクタンク』として生活者の意識把握に努め、その声をもとに「データ」×「クリエイティブ」×「コンサルティング」のチカラによって皆さまの未来創造に伴走します。