「2026年日本のデジタル広告インサイト」レポートが公開
モバイルアプリやデジタル広告のデータ分析を手がけるSensor Towerは、2026年10月21日、日本のデジタル広告市場を分析した無料レポート「2026年日本のデジタル広告インサイト」を公開しました。2026年1~8月の広告データをもとに、チャネルごとの役割や、ChatGPTをはじめとするAI検索広告の広がり、業界別の動向などをまとめています。
調査概要
- 調査主体:Sensor Tower
- 対象期間:2026年1月~8月
- 調査方法:Sensor Towerが追跡する対象チャネルの広告データ(Pathmatics)を基に、アプリパフォーマンス、ウェブサイト、オーディエンスデータを組み合わせて分析
- 対象:日本のデジタル広告市場(Sensor Towerが追跡する対象チャネル)
広告支出は93億ドルで前年同期比22%増
2026年1~8月の日本のデジタル広告支出(対象チャネル)は93億ドルで、前年同期比22%増となりました。広告インプレッション数は2兆6,000億で、前年同期比8%増です。支出の伸びがインプレッションの伸びを大きく上回っています。インプレッション数の上位広告主は、Google、NAVER、リクルートホールディングスでした。
Instagramに予算が集中、LINEはインプレッションで首位
チャネル別では、Instagramが日本のデジタル広告支出の36%を占め、最も予算が集まるチャネルとなりました。一方、LINEは広告支出では9%にとどまるものの、広告インプレッションでは39%を占めて首位です。LINEの平均CPMは約0.9ドルと推計されています。レポートでは、LINEが大規模なリーチを担い、ソーシャルや動画プラットフォームには密度の高い予算が投じられるという役割分担が示されています。

ChatGPT広告は「意思決定」段階の接点に
レポートでは、AI検索が消費者の意思決定プロセスに入り込みつつある点にも注目しています。ChatGPTの広告チャネルと親和性が高い業界は、不動産、旅行、金融サービス、仕事&教育といった、検討や比較を経て意思決定する商材が中心です。たとえば転職サービス「doda X」(パーソルキャリア)では、2026年7~8月の広告インプレッションの11%がChatGPT経由で、仕事&教育業界全体の水準を上回ったといいます。また、お盆前には旅行やショッピングなど休暇中の消費に関わるブランドがChatGPTチャネルへの投資を増やし始めたことも紹介されています。

メディア&エンタメが最大業界、マンガ・動画配信がけん引
業界別では、メディア&エンタメが最大の広告業界となり、支出は前年同期比23%増、インプレッションは同14%増でした。サブカテゴリでは「書籍&マンガ」が最大のインプレッションを獲得し、前年同期比22%増。「映画・テレビ番組」は35%増、「ソーシャルメディア」は51%増と大きく伸びています。マンガではNAVER Webtoonとピッコマが引き続き上位広告主で、ストリーミングではAbemaTV、U-NEXT、Disney+が活発に出稿しています。ゲーム広告では、『アークナイツ:エンドフィールド』や『パズル&サバイバル』など、中国発の海外展開タイトルが複数トップ10入りしました。
キリンの事例:事業ごとにチャネルを使い分け
事例として紹介されたキリンでは、飲料事業がTikTokでのインプレッションシェアを高めて若年層にリーチする一方、健康・美容事業はレビューや長尺動画と相性のよいYouTubeに比重を置いています。さらに夏季やFIFAワールドカップの期間には、商品の季節性やイベントに合わせて飲料とビールの配信の重点を切り替えていました。

マーケターへの示唆
支出シェアとインプレッションシェアのずれが示すように、広告チャネルは「広く届ける」役割と「深く動かす」役割に分かれつつあります。LINEのリーチとInstagramや動画プラットフォームの訴求力をどう組み合わせるかが、メディアプランニングの軸になりそうです。また、検討期間の長い商材を扱う企業にとっては、ChatGPT広告を新たな意思決定の接点として検証する価値があるでしょう。キリンのように「チャネル×ユーザー×シーン」を事業ごとに設計し直すことが、予算規模に頼らない成果につながります。
Sensor Towerについて
2013年にサンフランシスコで設立され、モバイルアプリやゲーム、デジタル広告に関するデータと分析環境を提供しています。代表はOliver Yeh氏。
関連情報
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