主な調査結果
旅行需要は回復する一方、収益化に課題
2026年前半のグローバル旅行市場では、消費者の旅行需要は回復・拡大傾向にあります。特にオンラインの旅行関連トラフィックは前年比で増加し、航空分野が成長を牽引し、予約数はグローバルで前年比8%増と堅調に推移しました。しかし、コンバージョン率は低下しており、特にOTA(オンライン旅行代理店)では前年比7%減が見られます。平均注文額も横ばいから減少傾向にあり、需要の増加が必ずしも売上成長に直結していない状況が示されています。
2025年の週次データに基づく比較では、夏季ピーク(7月初旬〜8月中旬)において、旅行予約が小売売上を上回る傾向が確認されました。これは、消費者の関心が「モノ」から「体験」へと移行している可能性を示唆しています。APAC地域では、旅行需要が小売を上回る期間が7月初旬から10月中旬までと、より長期にわたっています。
比較行動の高度化とAI活用が進む旅行者の意思決定
旅行需要の回復に伴い、消費者の予約行動は高度化しており、比較検討の深化とAI活用の拡大が顕著です。
2026年1月〜3月の閲覧データでは、旅行者は予約前に平均で約25件のホテルを閲覧しており、複数の選択肢を比較する傾向が強まっています。予約までの平均期間は航空券で約9.5日、ホテルで約11.5日と比較的短い水準ですが、実際の意思決定プロセスには数分から1ヶ月以上と大きなばらつきが見られます。
2026年2月の消費者調査では、全体の42%が旅行計画における長時間の閲覧・比較プロセスを「楽しんでいる」と回答しており、旅行が単なる目的達成型の購買ではなく、事前の探索・発見プロセスそのものが重要な体験となる「ディスカバリー型」の購買カテゴリーに変化していることが示されています。このような層は、計画的に早期予約を行い、閑散期の旅行や複数のサービスの比較を行う傾向があります。
AIの活用も旅行の検討から予約までの幅広いプロセスに広がっています。6か国平均では、アクティビティの検討(41%)、旅先のアイデア探索(40%)、宿泊先の選定(40%)など、特にディスカバリー段階での活用が進んでいます。日本においては、旅先の候補出しにおけるAI活用が48%と最も高く、次いで旅行全体の計画にAIを活用する割合が45%でした。一方で、航空券の手配におけるAI活用は19%に留まり、日本の旅行者はAIを予約ツールというよりも、行き先探しや旅程づくりを支援するツールとして期待していることが明らかになりました。
2026年3月時点のCriteoのグローバル旅行事業者の分析では、ChatGPT経由のプロダクトページへの流入シェアが、従来の検索流入を13ポイント上回るケースも確認されており、ディスカバリーから検討段階においてAIが強い影響力を持っていることが示されています。さらに、同事業者の72%でChatGPT経由の予約が少なくとも1件以上確認されており、AIが実際の取引にも波及していることが分かります。
旅行者は「多目的化」し、体験重視へシフト
現代の旅行者は単一目的に留まらず、複数の体験を組み合わせる「多目的型」へと変化しており、旅行の設計・意思決定もより複雑化しています。
2026年2月の消費者調査では、6か国平均で、観光名所(58%)を主な目的としながらも、ショッピング(46%)、自然体験(43%)、グルメ(36%)など、複数のアクティビティへの関心が高いことが示されています。日本の消費者に限定すると、観光名所(56%)、ショッピング(53%)への関心が高い一方、自然体験は22%と、他の5か国と比較して低い結果となりました。
2025年7月の購買データ分析によると、ニッチな目的地を選択する「プレミアム旅行者」は、一般的な旅行者と比べて移動距離が約1.7倍、航空関連支出が約1.6倍と、高付加価値な行動を示す傾向があります。また、これらの旅行者は香水、ハンドバッグ、サプリメントなど、高価格帯商品の購買意欲も高いことが確認されています。
旅行需要は維持されつつ、コスト最適化が進行
旅行コストの上昇が続く中でも、旅行は依然として優先度の高い消費カテゴリーであり、消費者は旅行を諦めることなく、計画を工夫・最適化することによって支出を調整しています。
2026年の消費者調査では、旅行が引き続き優先度の高い支出項目である一方、約8割の消費者が旅行コストの上昇の影響を受けていると回答しています。これに対し、消費者は旅行自体を控えるのではなく、早期予約(42%)、オフシーズンでの旅行(40%)、より低価格な目的地の選択(35%)などの工夫で対応しています。日本の消費者においては、早期予約(41%)が最も多く、ピークシーズンを外す(28%)を大きく上回っており、需要の平準化を訴求するよりも、需要が高まる時期の早期予約を促す施策がより有効である可能性が示唆されています。
複雑化する旅行購買に対応する3つの打ち手
旅行者の意思決定が複雑化する中、企業には従来の刈り取り中心のマーケティングからの転換が求められます。Criteoは以下の3つの打ち手を提唱しています。
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“発見〜比較”段階での接点強化
旅行者は予約前に多くの選択肢を比較・検討するため、検討初期から接点を持ち、中期的に関与し続けることが重要です。比較が行われる接点に確実に露出し、継続的に想起される存在となることが求められます。 -
AIを含むマルチチャネル戦略の拡張
AIが検索に代わる新たな流入チャネルとして存在感を高める中、オープンウェブ・SNS・CTVに加え、AIも組み込んだ統合的なチャネル戦略が不可欠です。複数チャネルを横断した接点を設計し、より早い段階で旅行者の関心を捉えることが重要です。 -
柔軟性・価値訴求によるコンバージョン強化
価格競争だけでなく、レビュー評価、キャンセルの柔軟性、付加価値(特典など)を含めた「安心感」と「納得感」の提供が鍵となります。あらゆる接点で明確な価値を提示し、比較検討の中で選ばれる理由を強化することが求められます。
Criteoの発表した本レポートの詳細は、以下のリンクから確認できます。
Criteoは、AIを活用した広告プラットフォームを通じて、ブランド、広告代理店、小売業者、メディアオーナーのコマースエコシステムをつなぎ、消費者とのつながりを強化し、新たな商品やサービスの発見、高度にパーソナライズされた体験を実現しています。世界中の数千ものクライアントとパートナーシップを結び、企業がパフォーマンスと成長を促進するために必要なテクノロジー、ツール、インサイトを提供しています。
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